2025年8月26日、浙江省生態環境庁は、嘉興市秀洲区に所在するある科技有限公司(テクノロジー企業)が「新化学物質活動状況を正確に記録していなかった」事例を公開しました。以下はその調査経過および処理結果であります。

 

■ 事案の概要

2024年9月24日、嘉興市生態環境局秀洲分局の担当者は、安徽省生態環境庁から浙江省生態環境庁へ提供された情報に基づき、当該企業に対して立入検査を実施した。調査の結果、同社は主に新薬の研究開発技術サービスを行っており、2022年6月以降、上海および安徽の業者から「塩酸イソプロピルヒドラジン(異丙基肼塩酸塩)」3瓶(総量約20g)を購入していたことが判明した。

同社の化学部門所属の有機合成研究員は、2023年3月7日にそのうちの1gを実験に使用したことを記録していたが、検査時点で実験室の試薬棚には1瓶(表示量5g)の同試薬が残存しており、瓶内には白色結晶状の粉末が確認された。一方、試薬の入庫台帳には「7月18日、塩酸イソプロピルヒドラジン5g入庫」とのみ記載があり、実際の入庫量などの詳細記録は存在しなかった。 さらに調査を進めた結果、購入した残り2瓶分については、入庫記録も使用記録もなく、所在を説明できず、実物の提示もできなかった。

秀洲分局が生態環境部固体廃棄物・化学品管理技術センターに照会したところ、塩酸イソプロピルヒドラジン(CAS番号:16726-41-3)は「中国既存化学物質名録」に未収載であり、新化学物質に該当することが確認された。したがって、同社は新化学物質の活動状況を正確に記録しなかった行為に該当した。

 

■ 処理結果

同社の行為は「新化学物質環境管理登記弁法」第39条第1項に定める

「新化学物質の研究者、生産者、輸入者および加工使用者は、新化学物質の活動状況記録制度を設け、活動の時期・数量・用途、並びに環境リスク管理措置および環境管理要求の実施状況を正確に記録しなければならない」という規定に違反している。

これに基づき、「同弁法」第49条の規定――

「記録制度を設けていない、または活動状況の記録・保存を行っていない場合、市級以上の生態環境主管部門が是正を命じ、1万元以上3万元以下の罰金を科すことができる」――を適用し、嘉興市生態環境局は同社に対して違法行為の是正を命じ、2025年1月、1万元(約20万円)の罰金を科した。

 

■ 情報出典 浙江省生態環境庁 公開資料(2025年8月26日) 出典URL(事例4):

https://www.envsc.cn/details/index/9136